ワイヤーハーネスとは?特徴や用途の基礎知識

ワイヤーハーネスの電線

電力や電気信号を伝えるためのワイヤーハーネス。

あらゆる分野の産業の製品や製造工程、家電製品に至るまで、例を挙げればキリがないほどさまざまな場所で使われています。

ワイヤーハーネスの基本と、用途についてご紹介します。

ワイヤーハーネスとは

ワイヤーハーネス(Wire Harness)は、機器の動力となる電力と、機器制御を行う電気信号を伝える役割を持った部品の集合体です。

主に電気を伝える電線と、周辺機器に接続して電気を伝える端子やコネクタを組み立てたものです。

呼び方や規格

ワイヤーハーネスの呼び方には他にも、ハーネス、ケーブルアッシー、配線、コード、ケーブル加工品などさまざまなものがあります。

またワイヤーハーネスの規格には日本のJIS規格をはじめ、国際規格から各国や地域で定められた規格、業界や研究機関によって定められた規格が存在します。

ワイヤーハーネスの製造

ワイヤーハーネスは柔軟物であることから作業に伴って形状が変わることがあります。

ものによっては構造が複雑になるため、調整は人の手によって行われます。

製造にあたってもFAによる全自動化が難しく、ワイヤーハーネスの品質向上のためには作業者の技術を高めることが重要とされてきました。

自動車や民生機器などで使われる大量生産のワイヤーハーネスは、人件費の安い海外工場で製造され、多品種少量のワイヤーハーネスは国内で製造される傾向にあるのです。

一方で、従来はハードルが高かった、大量生産ではないワイヤーハーネスの製造や取り付けに、ロボットシステムを導入して自動化を図るプロジェクトが国内で展開されています。

柔軟物を迅速かつ高精度で操作するために、熟練作業者のスキルを解析・作業に反映する、工場の照明条件の変化に応じて視覚センサシステムを開発するなどの試みが、製造業や大学などで進められています。

ワイヤーハーネスの用途

ワイヤーハーネスの用途

ワイヤーハーネスの用途について、一部の例をご紹介します。

わかりやすい例といえば、自動車の内部です。

自動車

自動車には、いたるところにワイヤーハーネスが張り巡らされています。

乗用車のボンネットを開けてみると、機器と機器をつなぐ多数のワイヤーハーネスを一目で確認できることでしょう。

たとえば、エンジンをかけるときには「エンジンボタンが押された」という情報が電気信号で制御システムに伝達されます。

ガソリンを燃やすためのプラグへの点火にも電気が必要です。

このように電力供給、情報伝達および制御といった、機器同士を「つなぐ」役割をワイヤーハーネスは担っています。

ワイヤーハーネスが特に多く使用されているのは車の操作に関わる運転席や、エンジン部分付近です。

エンジン周りなら「エンジンハーネス」、自動車の屋根になら「ルーフハーネス」、ドアの中であれば「ドアハーネス」など、部位による呼称もあります。

昨今は電気自動車やハイブリッド車の生産も盛んになっているので、今後もますます使われるようになっていくことでしょう。

傾向としては、特に高電圧に耐えられるもの、軽いもの、低コストとなるものが求められています。

医療機器

医療機器にもワイヤーハーネスは幅広く使われています。

<例>

・血圧計、心電図、カテーテルなどの小型~中型の医療機器

・MRI、CT、X線装置、超音波診断装置など大型の医療機器

自動車に比べるとワイヤーハーネスの複雑さは低くなる傾向にありますが、それでも単一から百回路程度、単純な構造から比較的複雑な構造まで、幅広い種類が使われているのです。

身近な社会インフラ

身近な社会インフラでの用途としても、ワイヤーハーネスは使われています。

<例>

・電車の自動改札や券売機

・電光掲示板

・銀行のATM

などこうした誰もが身近で利用するものの中でも、ワイヤーハーネスは見えない部分で活躍しているのです。

生産設備

自動車や医療機器などを製造する側、生産設備の現場においても、例を挙げられないほど多くの業種の製造ラインでワイヤーハーネスが使われています。

自動加工機や搬送装置といった機械の内部、また機械本体と制御するための制御盤をつなぐ役割を果たしているのです。

工場のFA化で導入される、ロボットの制御にも使われています。

民生機器

エアコン、冷蔵庫、電子レンジなど家電製品の内部にも電気信号や動力を伝えるワイヤーハーネスが必要です。

家電製品や一般家庭で親しまれる機器などの用途は、「民生用(ワイヤーハーネス)」と呼ばれることもあります。

<例>

・冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジなどの家電製品

・テレビ、音楽プレーヤーなどのAV機器

・パソコン、コピー機などのオフィス機器

など医療機器や生産設備に比べて、ワイヤーハーネスの構造が単純で短いケースが多くあります。

一方でスマートフォンのような小型の機器においては、電力や電気信号の伝達に基盤や薄型の回路が使用されます。

ワイヤーハーネスは大きすぎて機器内に収まらないため、使用されない傾向にあります。

おわりに

今後のワイヤーハーネスには、軽量化や高電圧に耐えられる性能が求められています。

軽量化の施策の例としては、一部の機構をワイヤレスセンサネットワークに代替する取り組みがなされています。

様々な用途があり、課題を抱えつつも進化するワイヤーハーネス、今後の動向に注目しましょう。