産業用ロボットのメンテナンス ロボットケーブルの断線を注視!
工場のFA化に伴って進歩を続けている産業用ロボットも、機械である以上は故障の可能性があります。
故障を未然に防ぐために考えておきたいポイントはなんでしょうか。
産業用ロボットはメンテナンスが必要
産業用ロボットは一般的に長期間稼働させるものです。
故障や事故を防ぐため、またロボットのライフサイクルを向上させるためにも、定期的にメンテナンスをすることが欠かせません。
産業用ロボットのメンテナンスには人体に危険が及ばないようにする意義もあります。
労働安全衛生法第4章(第20条~第36条)では、機械や電気エネルギー、引火性の物質など人体に危険が及ぶ可能性のあるものが挙げられており、特に第28条では、事業者に対し労働災害を防止する措置を講ずるように定められているのです。
メンテナンスには毎日の点検と、稼働時間を踏まえた定期的なメンテナンスがあります。
毎日の点検は始業前・終業後に、法定点検や企業ごとに定められたチェックを実施することになります。
定期的なメンテナンスで行われるのは下記のような項目です。
・ロボット各軸の油脂類の交換
・異音やガタツキなどがないかの動作チェック
・バックアップバッテリーの交換
・制御部動作モニター確認
・電磁ブレーキ動作の電圧測定
ほか
上記の点検を行うことにより、不具合箇所を発見し、工場のライン停止を防ぐことができるのです。
産業用ロボットの故障例
産業用ロボットは、下記のような故障を起こすことがあります。
サーボエラー
サーボとは、ロボットの制御装置のことです。
例えば同じ動作を繰り返し行う産業用ロボットのサーボでエラーが発生すると、ロボットアームが動かなかったり、異常な速度で動作したりする可能性があります。
ロボットアームの摩耗
ロボットアームは摩耗による経年劣化が起こるため、グリス(液状潤滑剤)を塗布することで摩耗を防止します。
しかし、グリスもまた乾燥や高温によって劣化したり、漏れたりすることもあります。
ロボットアームの劣化を見落とせば、ロボットの動作により商品・製品が傷つく恐れがあるため、グリスを定期的に交換することが必要です。
ロボットケーブルの断線
複雑な繰り返し作業を行う産業用ロボットには、屈曲性能や耐捻回性などに優れたロボットケーブルが用いられます。
ロボットケーブルは作業環境に応じて耐火性や耐薬品性などが施されており、過酷な環境下においても中の導体が守られるように設計されているのです。
ただ強い衝撃を受けたり、電圧の強い負荷が生じたりした場合は断線する可能性があります。
ロボットケーブルの断線以外に見るところ
ロボットの故障によるライン停止を防ぐためには、ロボットケーブルを含め、ロボットを構成する部品についても知っておきたいところです。
・ロボットに使われている部品群
・稼働状態に鑑みて壊れやすい部品はなにか
・予備の部品の在庫状況
このような項目を事前に把握しておき、万が一故障が起きた場合は、どの部品が何の原因で不具合が起きたのかを分析することで再発防止につながります。
たとえば、ロボットケーブルにコークスクリューが起こっていた場合は、ケーブルの交換とともに、ケーブル配線を再検討することとなります。
おわりに
メンテナンスは、産業用ロボットのライフサイクルの向上とともに、作業員の安全を確保するためにも必要なものです。
ロボットケーブルについても、各ケーブルメーカーの最新資料を取得して、交換時の候補を選定しておきましょう。