緑と黄の縞の絶縁体は何?

ケーブル内の線心画像

家電製品を購入した際、電源コードとは別に、プラグから緑と黄の縞が入ったコードを見て、「これは何のためのコードなのだろう?」と疑問に感じたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、緑と黄の縞の絶縁体についてご紹介します。

緑と黄の縞の絶縁体は何?

緑と黄の縞の絶縁体は、接地(アース)線です。当然、接地以外の用途では使用できません。接地線には、電気機器に万が一の故障が起きた場合に感電を防ぐという役割があります。

接地(アース)線とは?

大地(地面)に電気を逃して感電を防ぐために用いられる線が接地線です。接地とは、電気設備や構造物を導体により大地と電気的に接続することを意味し、地球(大地)と電気的に接続することから「アース(earth)」と呼ばれることもあります。

洗濯機、エアコン、電子レンジといった家電製品には接地線が設けられ、接地線の先端には接地棒(アース棒)と呼ばれる金属が付いています。

接地線が必要な理由

日本では主に100V(一般家庭用)、200V(商業用)の電気が使われています。

通常の電気機器は、電気が外に流れ出ないよう対策されていますが、電気機器は経年劣化で故障したり、水で濡れたりすることにより、漏電が発生する可能性があります。このような場合、電気機器に直接手で触れてしまうと感電の恐れがありますが、電気機器を接地線で接地すると、電気は接地線を通って大地に流れるため感電しづらくなります。

漏電を検出して電気を遮断する「漏電遮断器」を取り付けることで、漏電発生時には漏電遮断器が作動して電気を遮断できますが、漏電遮断器を確実に動作させるためには接地が欠かせません。漏電時に接地線から大地に電気が流れると、漏電遮断器が検出して電気がすみやかに遮断され、漏電事故を防ぐことができます。

接地配線で得られるメリット

剥き出しになったケーブル

接地配線の主な目的は「感電防止」ですが、その他にも電気機器の誤動作を招く「電磁波やノイズ」の防止、爆発や火災の原因になりうる「静電気」の抑制、故障を引き起こす「落雷被害」の軽減などのメリットが得られます。

接地工事の種類

電気回路を大地につなぐ「接地工事」については、A種、B種、C種、D種の4種類があります。

工事の種別や、同じ工事の中でも種々の条件により、取るべき接地抵抗値や接地線が異なります。

<A種接地工事>

高圧や特別高圧など、高い電圧で使用している電気機器に対して行う工事です。

高圧の電気設備で人が感電した場合は致命傷ともなりえるため、接地抵抗値を小さく保つ必要があります。

接地抵抗値:10Ω以下

接地線:引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線または直径2.6mm以上の軟銅線

※移動して使用する電気機械器具で可とう性を必要とする部分には金属体や断面積の指定があります。

<B種接地工事>

高圧または特別高圧の電路と低圧の電路を結合する変圧器に対して施す工事です。

混触した場合に、低圧側の電路の対地電圧を上昇させないようにして危険を防止するのが目的です。

接地抵抗値:接地工事を施す変圧器の種類などにより異なります。

接地線:条件により異なります。

<C種接地工事>

300Vを越える低圧用の機器の外箱または鉄台などに対して行う工事です。

300Vを超える低圧の電路に接続される機器は、100Vや200Vの機器による感電事故よりも危険性が高いため、A種と同様の接地抵抗値を確保することとなります。

接地抵抗値:10Ω以下(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω以下)

※C種接地工事を施す機器と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下の場合は、C種接地工事を施したものとみなされます。

接地線:引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線

※移動して使用する電気機械器具で可とう性を必要とする部分には金属体や断面積の指定があります。

<D種接地工事>

300V以下の低圧用機器などを対象とした工事です。住宅や業務用施設の照明、コンセント、換気扇などにも使用されています。

接地抵抗値:100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)

※D種接地工事を施す機器と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下の場合は、D種接地工事を施したものとみなされます。

接地線:引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線

※移動して使用する電気機械器具で可とう性を必要とする部分には金属体や断面積の指定があります。

おわりに

今回は、緑と黄の縞の絶縁体、接地配線のメリットや工事の種類についてご紹介しました。

緑と黄の縞の絶縁体は接地線と呼ばれるもので、感電防止のために設けられています。

接地が不十分な場合、電気をうまく大地に逃すことができず、感電してしまう危険性があります。

電気機器を安全・安心に使用するために、正しい接地および定期的な確認が大切です。”